「古民家に惹かれて買った」——それだけで動いたHさんが、春先に送ってきた1枚の写真

豊中市でリノベーションを検討している方から、今年の春先にLINEで連絡が入りました。送られてきたのは、築22年の一戸建ての室内写真。天井の梁が見えていて、土間のような玄関があって、昔の職人仕事の跡が随所に残っている家でした。

Hさん、51歳。単身での暮らしを見据えて、「なんとなく惹かれて」購入を決めたと言います。不動産の契約が済んでから相談に来られるパターン、正直に言うと、かなり多いんです。でも、そのぶん「この家をどう活かすか」という前向きな話ができる。今回はそんな事例です。

豊中市の古い住宅に多い「見えないリスク」とは

豊中市は阪急沿線の利便性と、戸建て住宅が密集する住宅地が混在するエリアです。昭和後期〜平成初期に建てられた住宅が多く、築20〜30年帯の物件が市場に出回りやすい。Hさんの購入した物件も、いわゆるその世代にあたります。

この年代の住宅に共通して多いのが、断熱材の薄さ耐震基準の中途半端さです。1981年の新耐震基準は満たしていても、2000年基準(現行の木造住宅耐震基準)には対応していないケースが多い。外から見た印象と、壁の中の状態はまったく別の話なんです。

Hさんの物件も、現地調査に入ってみると床下に湿気がこもっていること、断熱材(グラスウール)が一部脱落していること、そして間取りが現代の生活動線に合っていないことが確認できました。

Hさんが選んだのは「スケルトンから始めるフルリノベ」だった

古民家的な雰囲気を残しながら、一人暮らしに合った空間に作り直したい——Hさんの要望を整理すると、そこに行き着きました。スケルトンリフォーム(内装をすべて解体し、構造体だけを残して作り直す工法)は、費用こそかかりますが、断熱改修・耐震補強・間取り変更を一度にできるという意味で、結果的に合理的な選択になることが多いです。

関西全域でリフォーム・リノベーション工事を手がけてきた経験から言えば、「部分的に直しながら何年もかける」より、「一度きちんとやり直す」ほうがトータルコストが抑えられるケースは少なくありません。

費用の内訳——Hさんの場合、何にいくらかかったか

Hさんの工事規模(延床面積約90㎡、一戸建てのフルリノベ)での費用内訳は以下の通りです。

  • 解体・スケルトン工事:35〜45万円程度
    内装材の撤去・廃材処分費を含む。古い家ほど廃材の量が多く、費用が上振れしやすいポイント。
  • 耐震補強工事:50〜80万円程度
    金物補強・筋交い追加・基礎補修を含む。豊中市の補助制度(耐震改修補助)が使える場合あり。
  • 断熱改修(壁・床・天井):40〜60万円程度
    高性能グラスウールまたは発泡ウレタンへの入れ替え。光熱費の削減に直結する工事。
  • 間取り変更・大工工事:60〜90万円程度
    壁の撤去・新設、建具枠・造作家具含む。
  • 水回り(キッチン・浴室・トイレ):120〜180万円程度
    設備のグレードで幅が大きく変わる部分。中古マンションのリノベでも同様。
  • 内装仕上げ(床・壁・天井):50〜80万円程度
  • 諸経費・設計管理費:総工事費の10〜15%程度

合計すると、Hさんのケースで総額400〜530万円程度が目安になりました。これは「高い」と感じる方もいるかもしれませんが、新築費用と比べると同等以上の性能を、土地代なしで実現しているとも言えます。

「3社に見積もりを取ってみてわかった」——Hさんの正直な感想

Hさんは私たちに相談する前に、すでに2社から見積もりを取っていました。1社は「とにかく安く」という姿勢で、耐震工事の項目がごっそり省かれていた。もう1社は内容は充実していたけれど、見積書の説明が少なくて「何にお金がかかるのかわからなかった」と。

これはよく聞かれるんですが、リノベーションの見積もりは「安いから得」とは限りません。特に耐震補強や断熱改修は、後から追加すると足場を組み直したり壁を再度解体したりで、むしろ割高になることがある。最初の設計段階で何を含めるかが、適正価格かどうかの判断基準になります。

補助金は「知っているかどうか」で数十万円変わる

豊中市では、耐震改修工事に対する補助制度が設けられており、条件を満たせば工事費の一部(上限額あり)が補助される場合があります。また、省エネ改修に関しては国の「子育てエコホーム支援事業」や「断熱窓への改修補助」なども活用できるケースがあります。

Hさんの場合、耐震補強工事で市の補助申請を行い、実質負担を抑えることができました。補助金の申請は手続きが煩雑に見えますが、私たちが代行・サポートしているので、「よくわからないから使わない」という判断はもったいないです。

Hさんが完成後に言った一言

工事が完了して、引き渡しの日にHさんが言ったのは「この家、最初からこうだったらよかったのに」という言葉でした。古民家の雰囲気——梁の見えた天井や、土間を活かした玄関土間——は残しつつ、断熱性能は現代水準に。間取りも一人暮らしに最適化された動線になっています。

古民家再生は、感性で選んだ家を、理性で整えていく作業です。Hさんはその両方のバランスをうまく取ってくれた施主でした。

施工事例一覧もあわせてご覧ください。

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